もし、映像的なパラダイムシフトがなければファイアーエムブレムがこういう風に続いていた世界線もあったかもしれない、そう感じさせてくれる素晴らしい作品。
ドラマチックなストーリーが特徴ですが、初見で楽しんでほしいのでストーリーネタバレはナシのゲームレビューとなります。
日本語翻訳:公式対応
総合:
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ストーリー:
戦闘システム:
グラフィック:
やりこみ:
ストーリーの先が気になって、記事を書く余裕もなく一気にクリアしてしまいました。
・ドラマチックなストーリー&日本語翻訳がバッチリ
・キャラクターの立ち絵は良い(ややアメコミ調が強いが)
・章間の部隊編成/部隊育成が楽しい
・きちんとFEライクな戦術が楽しめる
・ゲームボリュームは満足(クリアまで30~40時間)
・吟味でのセーブ&ロード地獄がない
なんといってもストーリーが良かったです。
FEと違い、部隊(最大9名)での運用になり、ネームドキャラを他のネームドキャラの部隊に組み込んだりもできる(一部は部隊長から変更できないキャラもいる)。
部隊の編制は章間に行うのですが、これが楽しかったです。
中には回復キャラを入れることで永久的に戦える部隊にできたり、きちんと組めば無双部隊も可能。
永久離脱OFFだと戦闘難易度は易し目ですが、キャラの永久離脱ONにすると鬼畜難易度になります。
永久離脱に関してはモブ兵士のみ対象ですが、育成してきた経験値や熟練度が無駄になります。
ちなみに私は永久離脱OFFでプレイしたところ、全てのステージで1発初見クリア(ステージ中途セーブもなし)できました。
それくらい難易度が劇的に変化します。
また、シミュレーションRPGにありがちな育成吟味が必要ない(できない?)のはスムーズなゲーム進行としてかなり嬉しい点。
・ツクール製(多分)の安っぽいドラマパート
・クリア目標ターンが短めで、急かされる攻略(ランクSには基本走り抜けるしかない)
・キャラが無双できるようになると、ステージ攻略で詰まることはない。
簡易なドラマパート表現に関しては、値段を考えれば十分と考えます。
クリア目標(報酬に関わる)の設定のおかげで、「待つ」攻略プレイが実質不可なのが一番の不満点でした。
特に永久離脱OFFだと戦術は必要なく、「ヨーイ!ドン!」でゴールに向かうだけの攻略になりがちです。
DLC「Symphony of War: The Nephilim Saga – Legends」について
2023/8/29に発売されたDLCですが、初見プレイでの恩恵はサイドクエストが8つ増える程度なので、最初は購入する必要はありません。
一度クリアした後に、クローンキャラ(ステータスは初期化されるがスキルは育成後のもの)を最初から使ったりして遊べたり、最高難易度である「狂気」で遊んだりしたい場合に購入すると良いでしょう。ただし、データ引継ぎをする場合は、DLCを導入した上でクリアしてクリアデータを保存する必要があります。
アップデートにより、最終章のデータから引継ぎが可能になったようです。
DLCに関する詳細は以下の記事に記載しています。
ゲームの基本システム
ドラマパート ⇒ 戦闘パート ⇒ 部隊編成・育成パート
この3つのパートを繰り返しながら物語が進んでいきます。
先にも書きましたが、部隊編成・育成のパートが楽しいです。
ドラマパート
レトロな2Dグラフィックでの移動と、リアルな立ち絵のグラフィックで構成されています。
始めはツクール製を感じさせるグラフィックは少し残念かもしれませんが、それ以外の完成度が高いので気にならなくなります。
ドラマチックですが、文章量が控えめなので読んでいて苦にならないのもマル。
下はゲームの録画からのSSなので画像が荒くてすいません。
戦闘パート
馴染み深いシミュレーションRPG画面。
シンプルですが、戸惑う部分がなく入りやすい。
部隊は最大9名のユニットで構成されるので、敵味方合わせて最大18名のバトルになります。
FEのような足し算引き算のような細かいやり取りは必要ないですが、戦術性は十分あります。
部隊に回復職を入れることで、戦闘中に回復を行ってくれるのが戦術面で大きな特徴。
マップ画面でも回復が行えます(回数制限有り)が、戦闘中は戦闘毎に回復が行えるので回復職は各部隊に入れておきましょう。
士気は戦闘に勝っていくと上がり、部隊員が減ると下がる等、他にも様々な要因によって増減するパラメータで攻撃力等にボーナスが付きます。
部隊が死亡しても、永久離脱OFFなら章が終わると復帰します。
攻略上、戦闘キャラは使い捨てになるケースもあるので初見では永久離脱ONだとかなり厳しい。
攻撃側⇒防御側
⇒攻撃側(2回目)⇒防御側(2回目)
⇒攻撃側(特定条件で追加ターン)⇒防御側(特定条件で追加ターン)
行動するキャラは多いのですが、同じタイミングでの動作は同時に発生するので思ったよりモッサリ味は少ないです。
戦闘アニメーションに関しては、コンフィグで設定可能。
ですが、戦闘を眺めるのが楽しいゲームなので上記設定で問題ないと思います。
とくに初見で戦闘速度を「高速」にすると何が起こっているのか分からないので最初は「普通」推奨です。
部隊編成・育成パート
章間では、部隊編成/技術ツリー/買い物などが行えます。
FEではどちらかというと面倒なパートですが、自分の部隊が強化される実感が持てるのでここが面白い。
闘技場はキャラの育成、アイテムの入手等が行えますが入場する為には有限のコイン(有限で入手可能)が必要です。
部隊編成
ストラテジー要素が強い部分。
部隊編成画面では、自由に部隊の組み換えを行うことが出来ます。
組み方によっては無双することもできますし、敢えて敵を倒さずに敵を引き寄せる鉄壁の防御部隊も作れたりします。
鍵マークがついてるキャラは部隊長限定ですが、それ以外のキャラは部隊長級のキャラを他の部隊に組み込んだりも。
各部隊は部隊長依存のキャパシティにより最大編成数が決まります。
キャパシティはレベルが上がることで上がったり、アイテムによって上げたりできます。
また、装備品(初期1個、最大3個ですべての部隊員に効果)も部隊の特色を出すのに一役買っています。
各部隊員はそれぞれ自分のスキルも所持しており、いくつかのスキルは付け外しも可能。
部隊の「移動」種類に関しては下記3種
歩兵部隊(移動力6) MAP画面で部隊位置変え可能
騎兵部隊(移動力7) 攻撃後再移動
飛行部隊(移動力7) 障害物無視
騎兵が部隊の半分以上を占め、飛行が入っていなければ騎兵部隊となります。
飛行が部隊の半分以上を占め、騎兵が入っていなければ飛行部隊になります。
上記以外は歩兵部隊となります(他にも条件があるかも)。
意外かもしれませんが、それぞれ上位互換というわけではなく、歩兵部隊の位置替えも有用な場面もあります。
クラスチェンジは3段階+ゴールド化。
条件にはパラメータもあり、同じ職でも特定のステータスが低めのキャラだとクラスチェンジできない場合も。
技術ツリー
勢力の評価が上がると獲得できるポイントを使い、アンロックできる。
勢力の評価自体は、ステージクリア時の評価で上がっていきます。
最終的に勢力の評価MAXになると、すべての技術ツリーをアンロックすることが可能です。
永久離脱ONの場合おそらく勢力の評価が思うように上がらないと思うので、技術ツリーの選択は重要になると思います。
市場
市場では、アイテムを買ったり、キャラを雇ったりできます。
アイテムはそれぞれ1品モノで章が変わると入れ替わります(ランダム?)。
キャラの雇用は、新兵(名前が黒)は雇うと次のキャラが表示されるので実質いくらでも雇えます。
名前が緑/青/オレンジのキャラは即戦力ですが値段が高く、雇うと購入済みとなりその章では追加はされません。
一部のレアリティの高いキャラは特殊なスキルを最初から保有している場合があります。
闘技場
闘技場は入場用に特別な通貨が必要になる有限の練習場。
味方は5名選抜、敵も少数のミニマップとなっていて、クリアすることでアイテムやお金が獲得できます。
入場財貨は章持ち越しできるので、軍資金が乏しくなってきたら利用してみましょう。
ゲームをプレイする上での注意事項(コンフィグ)
[重要] 高解像度フォントはオフに
このゲームにおいて、特に重要な設定なので独立して注意させてもらいます。
高解像度フォントを「有効」にすると、改行されなくなるというバグがあります。
翻訳の精度が高く、ストーリーが面白いゲームなのにこの設定一つで台無しになりかねないので必ず「無効」にしてゲームを開始して下さい(デフォルトは「無効」なので変えてなければ問題ありません)。
難易度設定
難易度は「兵卒」「隊長」「軍師」の3種類。
それに「永久死亡」の有効のON/OFFがありますが、「永久死亡」に関してはすごく影響の大きいオプションになっています。初見だと詰む可能性を多くはらんでいるので、初見では「永久死亡」はOFFでプレイを推奨します。
初見で永久死亡ONはやりがいがあると思いますが、おそらく途中リセットありきのプレイになります。
2周目として「軍師」&「永久死亡有効」&「ノーリセット」&「戦闘中セーブなし」で遊んでみたところ、戦術的にすごくおもしろいゲームになってビックリしました。
難易度は「隊長」でいいですし、気に入らない場合はセーブ&ロードしてもいいので、「永久死亡有効」で遊ぶのをオススメします。
ネームドキャラは死亡しても復活しますし、クラスチェンジアイテムは戻ってくるし、装備品の抱え落ちもないのでそれでもFEの永久死亡よりは緩いです。
振り返ってみると、「永久死亡無効」はシューティングゲームを残機無限で遊ぶのに似ていた気がします。
基本的に突っ込んでいけばクリアできちゃいますからね。
もしクリア後に記事を見て下さっている方なら共感してもらえると思いますが、このゲームは永久死亡OFFだと(被害を考えず進軍すればいいだけなので)戦略ゲームとしての楽しさの大半がそぎ落とされてしまいます。
攻略TIPS
ここからは読まなくても問題ないです。
攻略面のネタバレが含まれます。
本作は永久離脱OFFであればそれほど難易度は高くないので、普通にゲームに慣れていけば後半は無双してクリアできると思います。
最強部隊は?(オススメの部隊構成)
攻撃面で強いのは魔法系なのですが、後衛攻撃してくる敵が増えてくると結局周りで守る手間が出てくるので防御面がしっかりしてる部隊が使いやすいです。
①ドラゴン3+回復兼壁
飛行できて単身で殲滅できる部隊です
安定して強いです。
将校の制服+聖テレサの壁で前衛の防御を上げるとさらに〇
前ドラゴン+後ろテンプラーでもよいのですが、後衛攻撃してくる敵が後半多いので結局後衛にもある程度防御が必要であり、ドラゴン自体はHPが高いものの前衛の壁をすると意外と落ちやすいのでこの構成に落ち着きました。
飛行部隊が2~3部隊いると、戦術面で非常に楽できます。
② 反撃特化ダイアナ
わざわざ黒帯とスタック可と書いてあるので使ってあげましょう。
超反撃+黒帯がダイアナの硬さ&範囲攻撃力と相まって、敵を反撃で倒していく構成です。
近接相手であれば、ほぼ全ての敵を反撃で全滅できます。
やっつけ負けする危険もほぼなく、まさに無双できる部隊。
「聖テレサの壁」は本当に強い装備品で、ランダム入手できた数で難易度が変わってきそうです。
※追記
2週目プレイでは「超反撃」を取得できませんでした。
クラスチェンジで入手した記憶があったのですが勘違いだったかも。
もしくは、ダイアナに先にスキルを付与していたので入手できなかった可能性があります。
③前衛職で前後を囲んだ部隊
このゲーム、3列目に前衛を置いても普通に攻撃しますので、1列目と3列目に固い前衛キャラを置くだけで鉄壁な部隊になります。
前衛職も火力が弱いわけではないので、お互いの攻撃が届くのであれば前衛職が強い。
中盤以降の敵は後衛攻撃してくる場合が多いので、3列目より2列目の方が安全です。
画像ではユニークユニットを囲んでいますが、普通にテンプラーや魔法系を囲むだけでも使い勝手の良い部隊になります。
前衛にはセンチネル等の物理系を採用してもよいです。
強いクラスは?
①ドラゴン
初期コスト15で2マス占有してしまうというデメリットはありますが、それでも最強の飛行部隊を作るには必須。
ドラゴン自体は拠点の市場ではなかなか出てこないので、バザールで見かけたら率先して雇っておきたい。
飛行させるには技術ツリーの「戦争学」を全てアンロックする必要があります。
②回復役(テンプラー/パラディン/ヴァルキリー)
「強い」というと語弊があるかもしれませんが、全ての部隊には回復役は必須です。
回復量はテンプラー>ヴァルキリー>パラディン(MAP回復不可)
テンプラーを攻撃されない位置に置くか、パラディン・ヴァルキリーを複数というのが基本構成です。
③魔法系攻撃(ライトニングメイジ・ファイアメイジ・アイスメイジ・ソーサレス)
※高難易度だと倒しきれないケースがあり、評価が下がります
こちらから先制攻撃できる状況であれば、範囲攻撃に長けた魔法系が強い。
ただし、アサシンなどに攻撃される場面だとアッサリおちるので運用注意。
1回の戦闘で基本1行動だが、追加ターン獲得時にはきちっと追加でもう1回攻撃してくれる(追加ターンとの相性が良い)。
魔法系のうち、どれが強いかはなかなか難しいところ。
男性魔術師メイジ系だとファイアメイジかライトニングメイジのどちらかが使いやすい気がします。
女性魔術師ソーサレスの攻撃の特殊効果「スタン」は敵1体の反撃を封じるので非常に強力、だが基本的に魔法部隊で攻撃をしかけると相手の部隊はほぼ壊滅するので効果は分かりづらい。
④ダイアナ
大パラディンの称号をもち、終盤は範囲攻撃をもつ公式チート。
反撃でばったばったと敵を薙ぎ払っていく。
普通に攻撃しても十分強い。
主人公よりも主人公してるからね、しょうがない。
⑤前衛系ユニット
このゲーム、後衛に配置しても普通に攻撃できますので前衛職のデメリットはない。
前衛職でも範囲攻撃持ちはいるので、弱点のない前衛系ユニットは非常に使いやすいです。
ほとんどのマップでターン制限があるので、多少無理できる前衛タイプがメインの部隊が有用なのは当然です。
逆に弱いと思ったクラスは?
どの部隊にも役割があり、強い部分はあるのですが、攻略に関して「クリアターン数の制限」があることを踏まえるとあまり運用したくないクラスがあります。
以下に共通するのは、相手ターンの攻撃に弱すぎるクラスということです。
① 弓部隊・シージキャノン部隊
弓の射程2~3はいいのだが、とにかく攻撃が貧弱で貴重な攻撃1ターンを使って相手を削れるだけ。
シージキャノンも同様ですが、まとまった数を運用すれば敵を壊滅できる分弓よりは使えます。
この2つのクラスは相手ターンに狙われると致命的なので他のクラス枠を割く理由に乏しい。
すべては、ゴールまで駆け抜けないと高評価が取れないシステムとの相性の悪さで、正直飛行部隊が作成できたあたりでお役御免と言えます。
高難易度&永久死亡ありの場合は削り役として弓部隊は有用なので、高難易度で遊ぶ場合は使ってあげてください。
② ガンナー
200オーバーの武器攻撃力を持つ「ガンナー」ですが、前列に固い敵がいると意外と倒せません。
数値だけみると強いのですが、他の前衛職は複数攻撃できたり回復できたりできるのが普通なので、単発だと単純にダメージ面でも優遇されているわけでもないです。
(技術ツリー)tier3の「元込め式銃」で悪天候で使えるようになり、tier4の「マスケット銃開発」でやっと2回攻撃できるようになりますが、これでやっと前衛職と同等以下という評価、無理に使う必要はないでしょう。
③ ローグ(アサシン)
攻撃時、ステルス攻撃で相手の後衛を狙うという点で、攻撃面では強いです。
しかしながら、他のクラスを使っても有利な攻撃側で敵を壊滅させるのは攻略上当然です。
それでいて、防御時の弱さが大きなデメリットになっているので敢えて使う必要はないクラスと言えます。
技術ツリーの取り方は?
きちんとSクリアを続けていけば最終的に全てアンロックできると思います。
重要性としては
戦争学>戦術と戦略>製作と産業
tier1に関しては、有用なものは率先してアンロックしてしまって構いません。
tier2に関しては、「製作と産業」の「国宝級の名工」は早めにアンロックしたい。
それ以外に関しては「戦争学」をメインに開けていくのがいいと思います。
魔法をチャージなしにぶっ放せる「魔術開発(tier3)」は魔法メインなら必須ですし、一番上の「ドラゴンの絆(tier4)」をとって飛行部隊を作ることで戦術の幅が大きく広がります。
最後に
プレイしてみると、見た目以上に面白いゲームです。
この手のゲームとしてはストーリーがかなりよくできています。
ファイアーエムブレム系のゲームを探している方は見た目で諦めず、是非触ってほしいです。
唯一不満点は、技術ツリーを開けるためには駆け抜けクリアが強要されること。
敵がもっと強くて、クリアターンの制限がなければもう一度永久死亡ONでじっくり攻略してみたいですが、永久死亡ONで駆け抜け攻略をすると絶対死亡者が出てしまうので…
永久死亡ON(+ステージ中セーブなし)だと、クリアターンを無視した攻略で技術ツリーに関しても限られた部分のみ開けていくことになるんでしょうね。
それはそれで遣り甲斐があって面白いのかも。
あれ、もしかして永久離脱OFFはチュートリアルだった!?
そのうち永久離脱ONでも挑戦してみようかな。
余談になりますが、レトロ風シミュレーションRPGの良作としてはフリーゲームの「グレイメルカ」というゲームがあります。
こちらもストーリーが素晴らしいゲームなのですが、フルスクリーン以外の解像度が640×480のみというのが今の時代だと厳しい。
ゲーム自体は本当にいい作品なので、こちらもオススメです。
このまま時代の流れで消えていくには惜しいゲームなので、どこかのメーカーさんが権利買い取ってリメイクしてくれたら、と思います。
ただ、素手殴りシステムはゲームバランスを全て壊すシステムなので撤廃して欲しいですが。
もし自分が「グレイメルカ」をやり直すとしたら素手殴り禁止で遊ぶと思います。
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