デイヴ・ザ・ダイバー(Dave the Diver)はネクソンの中の小規模チームが手掛けたゲーム。
インディゲームというくくりに当てはまるかは微妙ではあるが、きちんとした定義のあるものではないのでどちらともいえる。
個人的には大手が低コスト開発で高品質のレトロ風ゲームを手掛けるのは歓迎したい。
昨今は大手ゲーム会社はAAA級しか作れないというジレンマを抱えており、開発が高コストになる上にどこも似たゲーム(リアルなアクション・アドベンチャー)しか出せないというのはよくない流れだと思うので。
どんなゲーム?
海中探索 × 寿司屋経営 × 日本を題材にしたアメリカンコメディ
主人公のおっさん(デイヴ)がダイバーとなって海中を探索しながら魚を捕り、それをネタとして寿司屋を経営するというゲーム。
会話音声はなく、字幕に合わせてピコピコという機械音で表現されるレトロ感も特徴。
海中探索
本作のメインコンテンツ。
ゲーム時間の大半は海中探索を行うことになる。
海の造形はほぼ固定(上層のみ数パターンのランダム)。
魚を捕り、寿司屋で儲けたお金で装備を整えてさらに深海に潜っていくことでストーリーが進んでいく。
コントローラ操作推奨で、角度を決めてモリを射出していくのはさながらシューティングゲームのようで面白い。
酸素(O2)の概念はあるが随所に酸素補給地点があり、また海中に脱出ポイントがかなり配置されているのでサバイバル感は薄い。
海中の時間進行はなく、水上に戻った段階で1単位時間が進む。
メインストーリーに関しては多くは水中で進行。
寿司屋経営
捕ってきた魚からメニューを決める。
最初はバンチョ(調理)とデイヴの二人だけだが、店員を雇うことで効率化させていく。
デイヴの配膳能力は最底辺なので、ストーリーを進めて早急に店員を雇えるようにしたい。
ミニゲーム的な要素もあるが、最終的にはデイヴは動かなくても店は回るようになる。
途中には料理対決のようなイベントもあるが、特に躓くことはないでしょう。
農業
ゲーム要素としてはオマケ。
農業により、(スシ以外の)料理に使う米や、野菜などを栽培できる。
最初は手作業が必要になるが、ある程度進むとお金を使って作業員に任せることもできる。
手が込んだドット絵アニメーション
ストーリーの随所で登場するドット絵アニメーションの手が込んでおり、本作の大きな魅力となっている。
SEに太鼓を多用したり、日本語音声入りのBGMがあったりと、「日本文化」というのは大きなテーマの一つ。
評価
総合:
※ドット絵演出を高評価できるのであれば+★1
ドット絵で描かれたテンプレストーリーを楽しむゲーム。
経営管理系ゲームとしては色々足りず。
システム面を重視するため、世間評価よりやや辛口。
全体的に丁寧に作られたゲームであることは確か。
目新しさは感じるが、各コンテンツが全体的に浅い。
特に気になったのは寿司屋経営のシステムの雑さで、毎回やることは変わらない。
にもかかわらずメニューを毎回1から設定するのは煩雑ですし、中盤以降はスタッフが高速で働くのをデイヴ(プレイヤー)が見ているだけになりがち。
店員だけで働かせて営業パートスキップさせてほしかった。
ただ、定価2400円のゲーム体験としては十分良作。
本ゲームでは効率を求める必要性はありません。
一応効率プレイというのはありますが、日数制限もないので何をもって「効率」とするのかが難しい。
途中からは【農作業】と【生け簀】と【時間スキップ】だけでどんどん時間を進めるのが効率的と言えそうですが、海中探索が楽しいゲームなのでそれは何か違う(笑)
クリア日数によって次回の周回ですごいスタッフがアンロックされるとか、新しい魚やボスがアンロックされるとかあったらまた違った評価になったかもしれません。
・ドット絵アニメーションが楽しい
・日本文化をストーリーに取り入れているのでなじみ深い
・海中探索が楽しい(特に序盤はかなり)
外国人による日本文化(ワビサビ・ニギリ寿司・日本的漫画演出)のアニメーションは新鮮で面白かった。
おそらく主人公のデイヴ(dave)も日本語のデブから命名だと思われる。
また、海中の探索を楽しめるかがこのゲームの価値を決めると言っていいでしょう。
探索ゲームの醍醐味ですが、新しい地域にいって新しい魚を捕れると嬉しい。
海中での緊張感がやや薄い(酸素不足になることはあまりない)のは良い点とも言え、悪い点とも言え。
・目的感が薄い
・経営ストラテジーとしての出来が悪い
・中盤以降やることが変わらず作業プレイに
ゲーム中に「期限」を求められることがほぼなく(あっても簡単)、なんとなく進めるだけでエンディングまで行ける作り。
海中で入手できるのは、ほぼ料理の材料のみ。
ゲームを通して必要なのが「お金」だが、海中探索で寿司ネタを集めるのは作業プレイになってしまう。
結局は農業+時間スキップの方が時間効率は良いのだが。
寿司屋経営パートは作り込みが浅い。
寿司屋経営ストラテジーとしては、デイヴの操作が必要なのはむしろマイナス。
完全に店員だけにして早送り・スキップ機能などがある方がよかっただろう。
おそらくデイヴの操作を入れたのは「主人公のデイヴがどれだけ役に立たないかを笑うパート」としたかったのかもしれないが、それでゲーム性が落ちてしまっては身も蓋もない。
寿司ネタの種類は多いが、値段が低いネタは使い道がないため無駄にリストを見づらくしているだけになっている。
商品に関してもなぜ「自動補充」がデフォルトになってないのかが不可解。
「自動補充」があるのに、なぜデメリットのある「個数設定」が必要なのかも不可解。
おそらく後から「自動補充」という機能を追加したのだと思うが、そもそも全て自動補充(使った分のみ消滅)でよかった。
また、利便性の面をいうと前回のメニュー(在庫ありのもの)はそのまま次の日にメニューに並べとくべき。
全体的に寿司屋パートは「メインコンテンツではないので適当でもいいよね」感がにじみ出てる。
多数のミニゲームとかを作る体力があるならこの辺りのユーザビリティはもう少し練るべきだった。
最後に
外からみたジャパニーズカルチャーを楽しもう
ジャパニーズワビサビ
ジャパニーズSUSHI
ジャパニーズマンガ&アニメ
このあたりの表現に注目したい。
今回のレビューはやや辛口で
面白かったからこそもう少し面白くできた部分が惜しかった
私のように「経営ストラテジー要素」を楽しみにすると肩透かしにあいますが、期待値が高すぎただけかも。
1本道のアドベンチャーゲーム+αと考えれば十分2400円の価値はあります。
これからプレイする方に
日数を切り詰める効率プレイを目指すゲームではない
農業・生け簀がある程度進んだら
日数経過のデメリットはないので、海に潜らない(時間をスキップ)日を作るほうが楽
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