【ノベルレビュー】未だアニメ化していないストーリー重視の良作6選【オススメなろう作品】

いつもはゲームに関する記事をかいていますが、今回は趣向を変えてラノベのレビューをしてみます。
6作品中、現在アニメ化進行中は2作品で今後ブレイクする可能性あり。


記事現在「小説家になろう(小説を読もう)」にて閲覧可能であり、興味があれば気軽に読むことができます。
また多くの作品は加筆修正版である書籍版/コミカライズ版も発売されています。

書籍情報等は2023/9時点の情報になります。

目次

リビルドワールド

リビルドワールド(小説家になろう)

総合ポイント:約16万
文字数:約300万

あらすじ(リビルドワールド)

主人公(アキラ)はスラム街で日々なんとか生きている天涯孤独の少年。
ある日、主人公は一か八かで遺跡探索に向かい、古代文明の人工生命(?)のアルファと出会う。
アルファは実体を持たない映像的存在で、それを認知できるのは「旧領域接続者」と呼ばれるごく一部の人間のみ。
主人公は優秀なハンターになる為、アルファは優秀なハンターに遺跡を攻略してもらうため、2人は協力していくことになる。

世紀末近未来風の世界で主人公のアキラが、何も持たない孤児から、ハンターとして成り上がる様をシリアスに描く作品。
転移・転生モノではありません
銃撃バトルが多く人死にも頻繁に出ます。
とにかく主人公アキラが決断力があって爽快感がありますが、人情等を感じさせないので合わない人は合わないでしょう。
全体的に1話1話にきちんとストーリーが込められていて読み飛ばせません。

「なろうっぽくないなろう作品」を求めてる人は是非読んでみて下さい

現在アニメ化進行中(制作会社不明/放送時期不明)であり、非公式なのでリンクはしませんがyoutube等で(おそらく海外で発表された)アニメトレイラーを見ることができました。
かなりアニメ化が難しい作品だと考えていたので、アニメ化自体に驚きました。
PVに関しては動きが少なく、キャラクターはやや弱い印象はあるものの個人的に楽しみであり、制作会社様には頑張って頂きたい。

《書籍版》

1~12巻 続刊中


web版より尖った部分が抑えられ、読みやすい構成になっています。
7巻辺りからはweb版と大きく展開が乖離しており、ほぼ別作品となっている。

《コミカライズ》
1~9巻 続刊中


人物「以外」が大変な本作。
うまくコミカライズできているのはすごい。


即死チートが最強すぎて、異世界のやつらがまるで相手にならないんですが。(完結)

即死チートが最強すぎて、異世界のやつらがまるで相手にならないんですが。(小説家になろう)

※2024/1/5現在、アニメ化に合わせてかは不明ですが「小説家になろう」での公開は停止されたようです

総合ポイント:約32万
文字数:約130万

クラス異世界転移モノ。
とにかく絶対に勝てる能力を持ってる主人公が苦労なく進む。
ヒロインはいますが大喜利要員のようなもので、恋愛要素は皆無です。

名前からくるテンプレ感通りのテンプレモノなのですが、「文章力のある作者が敢えてなろうネタの小説を書いてみた」というべき作品。

本作を一言でいうと、「なろうテンプレ小説」ではなく「なろうテンプレネタ小説」というべきで、ネタの引き出しの多さに驚かされます。
作風は全く違いますが初期の「ワンパンマン」のような、プロがバカ漫画(貶してるわけじゃないです)を真面目に書いてみた、という感じの疾走感を味わうことが出来ます。

終盤はさすがに失速した感はありますが、それでも最後まできちんと描き切ったのはさすが。

現在アニメ化進行中ですが、正直この作品の面白さは文章に支えられている部分が大きいので、きちんと面白さを映像化できるのかは不安が大きい。
異能力持ちが多いので「撲の能力は…xxxxxxx」みたいな説明台詞が多いのですが、文字ならまだしも読み上げが入るとどうなんでしょうか。
小説なら長い台詞でもサっと読み進めることが可能ですが、アニメになると登場人物にダラダラと読み上げてもらわないといけないですからね。
このあたりはJoJoとかHunter×Hunter等、同じ悩みの上で人気作となった例はあるので脚本家の腕次第。

倫理観的にアニメ化できるかは不安でしたが、よくよく考えると血が出ないので、今回上げた作品の中ではやりやすい方だったのかも?

《書籍版》

全14巻

《コミカライズ》

1~9巻 続刊中

冥王様が通るのですよ!

冥王様が通るのですよ!(小説家になろう)

総合ポイント:約9万
文字数:約220万

宣戦布告だ人間ども
一月後、俺はこの王都を滅ぼす
好きなだけ戦力を揃えろ。まとめて冥府に突き落とす

壮大な魔王譚。
魔王が主人公の作品は数あれど、これほどきちんと魔王をする作品はないのではないでしょうか。
※作品中では「王の魔物」が正式名称
主人公が終始おちついていること、3人称で地の文多めということで「なろう系」としてはやや固めの文体と言えるかもしれません。
ひと昔前のスニーカー文庫/ファンタジア文庫あたりの作品に近い印象。

この作品の主人公は正しく魔王であり、人間性を求めてはいけません。
序盤はいわゆる人外転生成長モノですが主人公が最強になったあとは暗躍しての歴史作りがメイン
逆に言えば、主人公のステータスがちょこちょこ上がっていくのが好きな人は途中から脱落すると思います。
戦闘はしますが、戦闘描写はあっさり風味。
また、主人公は暗躍する関係上、途中からは第三者視点の話が多い。

作中では最終的には1000年以上の時代が移り変わっていきます。
その時代の裏側で主人公が暗躍しながら、文明の発展や衰退に関わっていくのが何とも壮大です。

メインの登場キャラは主人公&ヒロインの2人なので人物描写が少なくて済むためどんどん物語が進行していきます。
神と契約したり、冥府を創ったり、1国の盛衰を裏から操ったり。
主人公とヒロインの関係は恋人ではなく、師匠と弟子という関係で終始進んでいきます(ヒロインからは好感度高いんですけどね)。
どちらも頭のネジが飛んでいて「人間味のないキャラ」なのでそこが合わない人も。

私は歴史を自分で作る主人公というのはすごく楽しめました。
壮大なマッチポンプギミックを読みたいかたは是非読んでみて下さい。

個人的には何かの拍子にバズっても驚かない
隠れたお気に入り作品です。

《書籍版》

1~2巻(打ち切り?)

《コミカライズ》

1~2巻(続刊?)

書籍としては完全に埋もれてしまったのが残念…
どちらも読んでいませんが、おそらく序盤も序盤という部分だけしか書籍化されてないということで、作品の持ち味の部分までたどり着いてないのが厳しいですね…

好きな作品なので、なんとか復活の道筋はないのだろうか
初出が電撃文庫とかならよかったのでしょうが、「なろう系」は非一人称というだけでハンデを背負ってる気がしてしまうんですよね、自分は気にしないのですが。

かなり分量のある作品ですが、どこかのタイミングで読み直してみたい。

TS衛生兵さんの成り上がり

TS衛生兵さんの成り上がり(小説家になろう)

総合ポイント:約7万
文字数:約80万

名前と内容が良い意味で合ってない名作。
「なろう」で生き残るために無理やり設定付けたよね…

TS要素は本当に必要だったのかは疑問ですが、それ以外の部分のリアリティがすごい戦争兵士モノ。
主人公は努力・頭の回転という素質を持っていますが別に異世界転生特典では(多分)ない。
特に作品中に示唆されているわけではないが、「ジャンヌ・ダルクは意外とこんな人物だったのかも?」と思わせてくれる点もあり、隠れたモチーフと言えるかもしれない。

リアルな戦争モノで、人死にももちろんでます。
主人公は主人公なので死ぬことはないですがそれでも「ご都合主義」をあまり感じさせない素晴らしい物語構成

題名で忌避感を感じず、是非読んでほしい作品
間違ってはいないんだけど、「TS」も「成り上がり」も主題ではないよねぇ…

終始シリアスに戦争の残酷さを物語っているので、どうしてもそこが嫌な人は避けてください。

《書籍版》

1巻 続刊中

TSや転生というラノベ的な要素がなければ一般文芸でもいけた。

まだ新し目の作品ですが、できるだけ多くの人に読んでほしい。
戦争は悲しいなぁ…

呼び出された殺戮者(完結)

呼び出された殺戮者(小説家になろう)

総合ポイント:約9万
文字数:約100万

戦闘の専門家、遠野一二三が異世界転生し、異世界のたるんだ戦闘にモノ申す。
主人公最強モノといえばそうだが、明らかに「なろう作品」では異質の物語。

王の欲望のために異世界転移する物語は数あれど、呼び出された場で王を殺しに行く物語はこの作品が初めて。
主人公はどう考えても狂人だが、異世界の戦争(戦闘)技術の向上を目的に活動していく悪役。
父親(王)を殺されたイメラリア(王女)とのW主人公とも言えるかもしれない。

どちらかというと悩まない主人公より、周りの苦悩する人々がこの物語のメインと言えるだろう。
感情移入は×だが、信念ある狂人の物語に魅力を感じる人には良質なノベル作品
ヒロインに感情移入する人はちょっと苦しい部分もあるかもしれない。

主人公が一般的な感覚では狂人なのでアニメ化はされないでしょうねぇ(ワンチャンNetflixなら?)。
登場人物全員が、独自の信念をもって物語を動かしていくのが魅力です。

ラストまで綺麗にまとまっているので、読後感は〇
主人公の年齢に関しては18歳らしいのですが、脳内的には30台半ばくらいで考えて読んだ方が違和感がないです。

《書籍版》

全9巻

続編「よみがえる殺戮者」に関しては未完。
作者の書きたいことは「呼び出された殺戮者」の方に詰まってる気がします。

本作品が「小説家になろう」で掲載されたのは2014~2015ということで、完全に黎明期の作品であり、世に出るのが少し早すぎた感はあります。

滅亡国家のやり直し!今日から始める軍師生活(完結)

滅亡国家のやり直し!今日から始める軍師生活(小説家になろう)

総合ポイント:約23万
文字数:約90万

ループしたことで、祖国が滅びる前に戻ることが出来た主人公、ロア。
以前はただの平文官だったがなんとかして祖国の滅びを回避したい!

というところから始まる2周目チート物語。
全体的に主人公にやさしい物語でご都合主義が多く、題材の割にストレスなく読める。
ループモノだが、主人公の軍師スペックが高くてなぜ1周目が平文官で終わったのかがよくわからない。
終盤はやや駆け足感は強いが、それでもきちんと描き切ったのは〇

今回紹介した中では、一般受けしやすく人気が出そうな作品ともいえます。
作者さんは「読者に好まれるポイント」をちりばめるのが上手いです。

書籍に関しては今後発売されるようです。

最後に

オマケ雑談

というわけで、今回は自分が読んだ中でアニメ化はまだしてないものの面白かったものを紹介させていただきました。
どれも好きな作品なので、興味をもってもらえる一助になれば幸いです。

私の好みとして、ハーレムモノが嫌いとは言いませんが、メイン登場人物(主人公周り)が多いと物語が動かないので評価が下がる傾向があります。
序盤はスムーズに物語が進行して楽しめるのですが、主人公一味が雪だるま式に増えて作者も進行に苦労してる作品は結構見かけます。

アニメ化はおそらく「ラノベ作者」にとっての目標の一つでありますが、発表タイミングや作風によって製作会社にピックされてない作品はまだまだあります。

黎明期の大作「無職転生」はかなり後になってアニメ化されましたが、高いクオリティで大人気になりましたね。
どこに拾ってもらうかが大事。
自分の推しラノベの「本好きの下克上」は、覇権アニメの原作スペックはあったと思うのですが…

現在総合ポイントは
1位.転生したらスライムだった件
2位.とんでもスキルで異世界放浪メシ
3位.無職転生


となっていますが、自分にとってはやはり「無職転生」は「小説家になろう」では特別な作品。
実はアニメを見た後に読み直したのですがやはり面白いですね。
ここまで来たら大丈夫だと思いますが、見せ場でもある「対オルステッド」/「未来の自分(ネタバレ)からの言葉」をアニメで見たいところ。
2位の「とんでもスキルで異世界放浪メシ」に関しては当記事を執筆中に知りましたが、驚きました。
あまりストーリーが記憶に残っておらず、アニメの出来がよかったのかもしれませんね。

ということで今回はここまで。
最後にちょっと「なろう小説」で思うところをいくつかご紹介。

これから「なろう小説」を書く方が注意した方がいいこと(持論)

当たり前ですが「web小説」は発表時に編集部による校正が入りません。
書籍化した際に修正できるポイントもありますが、中には修正が難しいところもあります。
さらにアニメ化を目指したい場合、考えた方が良いポイントはさらにあるのでそのお話。

※あくまで私の持論になります

メイン登場人物の名前に注意

物語としてよくできているのに、命ともいえる登場人物の名前が適当なのはもったいない。

メインとなる登場人物は他有名作品を連想させるものは避ける。
「ゴクウ」とか「ナルト」とか使わないのは当たり前ですよね。

また、作品内でもできるだけ被らないようにする。
読者は色々な作品を時間を置いて読むことになるので名前の印象が弱いと物語を思い出しづらくなります。
例えば「アリス」「エリス」「アリア」など、ほとんど同じ語感の名前は避けるべきです(姉妹など関係のある場合は除く)。
カブリ文字は半分未満を意識するといいです。
特に2文字の場合はその2文字は使えないと思いましょう。
「エリ」を使ったら「エト」も使えないという感じです。
自然と2文字の名前というのはリスクになります、3文字も多用は危険。

長い名前というのはそれだけでアイデンティティになります。
「銀河英雄伝説」の「ラインハルト・フォン・ローエングラム」とか名前だけでカッコイイですよね。
読んでから何年経ってもぱっと思い出せるのはすごいです。
これは「なろう小説」は基本が1人称なので地の文で登場人物の名前が連呼されないのも大きな理由ではありますが。

また、「濁音」も嫌わずにも使いましょう。
名前のバリエーションが増えます。

思いつかない人はウェブに頼ったり、存在する言葉を逆から読むなども有効。
例えば「ところで」という日本語を逆にすると「デロコト」となり、あまり使わない語感の言葉になったりします。
この逆読みを使ってる商業作家さんもいるようで、有名処ではDr.スランプの「マシリト」の元ネタが当時の編集者の人から鳥山明氏がとったものというのがあったりする。

以前カクヨムに掲載されていて、それなりに評価されている作品で登場人物が某有名RPGの主人公&ヒロインのままの名前のものがあり、すごく勿体ないと思いました。
主人公の名前というのは、書籍化する時に基本的にいじれない部分なので、そこでアウトだと作品としてスルーされる可能性もあります。

ダンジョン編はさっくり

偶にありますが、ダンジョンを5F、6F、7F…のように何話も使ってやる作品がありますが、アニメ化した時に地味で展開のない話になってしまうので敬遠される気がします。

アニメやコミカライズが小説より優れている点は「見栄え」なので変わり映えのない画面が続くのはアニメ化・コミカライズにあたっての短所になります。
ダンジョン攻略に関しては、基本的に最低限でさっくり進める方が良いと思います。

同じく、なろう小説特有の「映え」要素として、定期的に主人公のステータスを長々と書く作品があります。
これ自体はなろう小説として悪いことではなく、なろう小説映えするための工夫だと思います。

ただ、この手法は「コミカライズ」「アニメ化」には効果的には取り入れづらい手法です。
コミカライズやアニメにおいては「文字」というのはできるだけ減らしたい要素なんですよね。

とはいえ、まずは目先のランキングを取らないといけないので悩ましいところかもしれません。


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