
テキスト形式で進行していくローグライト&アドベンチャーゲームですが、かなり人を選ぶ印象。
昨今のテキストアドベンチャーだと音声がついているのも多いですが、完全に無音なのでそこは残念。
30時間以上プレイし、エンディング3つ回収した時点で、遊びきれたとまでは言えないけどある程度全体像が分かった段階でのレビューです。
どんなゲーム?

ゲームをスタートするとスルタンカードが配られる。
スルタンカードは期間内に消費しきれなかったらゲームオーバー。
スルタンカードを消費し、手持ちが0になると新たに配られるほか、追加で引いていくこともできる。
ゲームのクリア条件はいくつかあり
・スルタンから逃げ切る
・スルタンを失脚させる
・すべてのスルタンカード(デフォルト28枚)を消費する
etc.
注意したいのは、最初に目指すであろう「すべてのスルタンカードを消費する」は実は難易度はかなり高い。
スルタンカードに関しては、時限爆弾を持っているだけと考えて、あまり急いで消費しないようにしましょう(使うと次のを引かされてしまう)。

このプレイではスルタンカード全消費を目指していたので多めにスルタンカードを引いていますが、通常は所持スルタンカードは1枚だけで進めるのが吉。

MAP上にはイベント(常設や特定の条件で出現する)が配置され、それぞれのイベントにキャラクターカードを配置することでイベントが進行していく。


キャラクターは30体以上いて、ほとんどのキャラには加入条件や固有のイベントが用意されている。
各キャラクターは固有のステータスをもち、イベントや装備などで育成していく楽しみも。

ターンを終了すると一斉にイベントが動き出すので、手持ちキャラが少ない序盤はかなり取捨選択しながらイベントを進めて行くことになる。
成功失敗の判定はダイスロールが使用され、配置したキャラクターのステータスに大きく左右される。
まずはキャラを増やすようなイベントをやりたいが、そもそもそれすらも最初はノーヒントなので手探り。
この手探り感をある程度楽しめることがこのゲームを楽しめるかの大きな素養となる。
イベントによってはスルタンカードを配置することで、スルタンカードを消費できる。
スルタンカードの配置は必須ではないことも多く、スルタンカードを配置することで良い結果が起こることもあれば、悪い結果になることもある。
スルタンカードは期間内に消費しないといけないので、敢えて悪い結果を受け入れることも必要になる。

最終的にゲームをクリアするか、ゲームオーバーになると消費したスルタンカードの数に応じた「運命点」が獲得できる。

獲得した「運命点」はタイトル画面の「運命の店」でパッシブ効果を獲得するのに使う。
このあたりがローグライト要素。
最初はクリアを目指さず、スルタンカードを引きまくってゲームオーバーまでに使いまくるような稼ぎプレイも1つのプレイスタイルとしてはアリ。
ローグライト要素はあるのだが、普通にプレイすると1プレイで10時間近くかかったりする(テキストをどれだけ読むかによる)。
ゲームの楽しみ方としては
・フレーバーテキスト&世界感を読む楽しさ
・効率的なプレイを模索する楽しさ
これらが半々で、両方を楽しめそうな人にオススメ
似たゲームは?と言われると「ない」と言いたいが
敢えて言うなら覚えゲーの「Lobotomy Corporation」になるでしょうか。
ここで「Lobotomy Corporation」を上げる時点でこのゲームを楽しめる素養が低いと言われそうですが(笑)
評価
総合:3
※人によって振れ幅が大きい
私自身がこのゲームをきちんと楽しみ切れたかと言われるとかなり疑問。
なのでやや辛めになってしまっているかも。
実はプレイ中に一度他のゲーム(Expedition 33)に浮気してたりました(笑)
ただ、ゲームシステムが分かってくると不思議な中毒性があり、結局何十時間もプレイすることに。
音声はないけれど、アラビア風のBGMが独特のノベルゲームにマッチしている印象。
読み物を通じて架空のアラビア風世界感を楽しみたい方にはオススメできます。
お手軽な育成&ローグライトゲームとしてだけ楽しみたい場合はややつらい側面も。
・独特なアートワークと雰囲気
・個性的なキャラが織りなす個別ストーリー
・システムが分かってくると面白く、中毒性はある
・膨大すぎるゲーム攻略要素

このゲームを語る上で、システムよりもアートワーク&雰囲気がやはり最初にくる。
登場キャラも個性的で、正義漢もいれば悪人もいる。
この世界感を楽しめたら勝ち。
絶対無理だと思うがノベルゲームの側面が強いので日本語音声があるとかなりプレイフィールが変わったと思うが無理ですよね・・・
ストーリーはRPGのように1本の幹があるというより、個別の枝で構成されている小ストーリー集なのでサイドストーリー集という雰囲気。
小ストーリー集ではあるものの、その分岐は膨大で常に新しい発見があります。
・手探りが長く、面白くなるのに時間がかかる
・1ゲームが長い、スキップ機能はあるが遅い
・UIはやや使いづらい
やはり手探り時間が長すぎるのは問題。
最初はキャラも少なく、キャラの増やし方も分からない、ゲームの目的、スルタンカード自体もよくわからない。
「運命の店」でパッシブ購入することでゲームは楽になるのが序盤のモチベーションになる。
また、1ゲームが長いので、一般的なローグライト(周回して強化していく)ゲームとはプレイフィールが異なる点も注意。
慣れてくるとついスキップを多用してしまうが、かなりスキップ速度は遅いのでフルスキップでもプレイはかなり時間がかかる。
そしてスキップする癖がついてしまうと世界感を楽しめなくなってしまうという点も。
とはいえ、画面遷移速度/スキップ速度はもう少し早くしてほしかった。
UIに関しては、手持ちカードの整理の煩雑さが目立つ。
最低限カードインベントリは使いこなす必要があるがそれでも中盤以降カードの多さに辟易する。

カードインベントリ詳細にいくには画面下部のココから

カードインベントリは実は4段あり、カードマークの所でバッグに分類するルールを設定し、下の分類アイコン(?)を押すとルールに従って自動分類される。
紹介の最後に
というわけで今回は『スルタンのゲーム(Sultan’s Game)』を紹介させていただきました。
絶賛できるかと言われると(個人的には)そうでもなかったのですが、ゲームの世界感に浸りたいには刺さる1本だと思います。
最初はとにかくうまくいかなくて進展がないと思いますが次第にイベントを覚えて行って、「運命の店」で強力なパッシブを購入していくとどんどんプレイが楽になっていきます。
どういう層だと刺さるかというのは言い切れないのですが、気になったら手に取ってほしいゲームではあります。
ただ苦手な人は苦手なゲームなのも確か。
攻略メモのようなもの
ゲームプレイの基礎
特に最初は、スルタンカードを全消費してクリアすることは目指さないこと。
このゲームのクリア方法は様々ありますが、カード全消費はその中のたった一つでしかない。
ほとんどのゲームプレイ時間において、スルタンカードは時限爆弾以外のなにものでもない。
一部のイベントではカードが必須だったりするが、その為にカードを引きまくったりすると上手くいかないことが多い。
とにかくスローペースで進めるのがゲームクリアの大きな基本方針となります。
権勢は人手が必要なイベントトリガーになりがちなので、序盤は3で止めるのが良い。
※権勢3ないと牢獄に入れず、権勢4から主人公が拘束される「宰相の招集」イベント開始
権勢10から始まる政務イベント(特定のクリアには必要な要素)はある程度安定してからでよい。
序盤に加入させたいキャラ
※ステータスは初期値ではありません
ルメラ

①書店の営業:本を購入×3
②書店の前の物乞い:何か本を貸す(後で返ってくる)
③本を返しに来た少女:「何も置かない」or「金貨を配置」
加入条件が楽。
『ほとんどの本を読める』という強力な特性を持つ。
序盤の頭数確保として必ず入れたい。
アムール

①ぶきみな宅邸(浴場の情報収集のランダム):キャラのみ配置
②未解決の殺人事件:キャラのみ配置⇒「まだ有効な証拠」を入手
③黒幕:「手駒にする」にキャラを配置し、「まだ有効な証拠」を使用
加入時点で支持5を持っている(通常は1程度)。
アムールを権力ゲームに送ることで中傷カードの獲得をほぼなくすことが可能なので早めに入手しておきたい。
ライーダ

「難民に占拠された邸宅」(浴場の情報収集)で捕虜⇒牢獄から解放(金貨10)
加入時点で戦闘3魅力5社交3知恵3生存3と色々な場面で使いやすいステータス。
特に魅力5は(おそらく初回プレイでは)ナイバハニの「頼りにならない盟友」で引き戻し(魅力5以上)に使える最初のキャラになることが多い。
「難民に占拠された邸宅」では「征服カード」を使用することで「空き家」が入手できる点も見逃せない。
ジェモール&ハマール


「広く知られるハマール兄弟」(浴場の情報収集)で捕虜⇒牢獄から解放(金貨10×2人)



序盤のオススメというか目標。
「広く知られるハマール兄弟」をクリアするには最低でも参加二人で18(戦闘+体力)が必要(ダイス1+金ダイス)
運命の店なしだと恐らく最速で行くのは難しい。
幸い、期限切れでも一定ターン後に再出現するのでクリアできるようになってから行くとよい。
ジェモール&ハマールはゲーム内屈指の武闘派キャラで、主人公が必要ない荒事は任せて置ける。
ハマールは戦闘、体力の初期値が高く、ジェモールは生存が高く、知性もあるため本を読んで多方面で活躍可能。
運命点を稼ぐには

「運命点」はクリア時に精算される。
獲得量はゲーム中にスルタンカードを破いた枚数。
なので

稼ぐだけなら最初に沢山引いて、7日中に破けるだけ破いてゲームオーバーを繰り返すのが効率的。
でもこれだけやってると絶対飽きて、変に満足しちゃって実際のゲームに行く前に辞めかねない点に注意。
もしやるとしても2~3個欲しいの買ったら普通に遊ぶことをオススメします。
「運命の店」購入評価
上から順にオススメ
《秘密の双子(30P)》

主人公の分身で、主人公のみのイベントに参加できるので真っ先に欲しい。
30Pは高いが最初に取りに行きたい
《ハッサン(20P)》《ジェナ(20P)》


ハッサンは情報カードとひらめきで本などを作成。


ジェナはお金とひらめきで装備品を作成。
序盤は貴族の頭数として。
ひらめき(行動すると溜まっていく)が貯まったらマイアイデアでアイテム作成。
《勇猛果敢(3P)》

味方に武闘派が少ないので、3Pで底上げできるなら上げとく。
ジェモール&ハマールの加入に必要な(二人で)戦闘+体力=18目指す上で安い買い物。
体力強化の《筋肉鍛錬》は5Pなのでやや高い。
《マルキナ(20P)》


マルテナのマイアイデア(仕立て屋)は金5とキャラ拘束(2t)の消費はあるが各キャラを1回だけステータス上昇してくれる。
主人公や双子など一部のキャラの上昇値は高く、これだけでも加入価値がある。
お金の消費は結構重いので、必要なキャラだけ強化していくのが良い。
《アトナール(20P)》

アトナール。
平民だが魅力・社交が高くファミリービジネス向け。
《ベキ夫人(20P)》

貴族であるため権力ゲームに参加可能で、金を持ち帰ってくるので序盤嬉しい。
人が余る(かもしれない)終盤ではアクセサリとして装備も可能。
《良い人カード(20P)》

使用すると即時に善名10。
1ターン目に使うと、次のターンには「謎の援助」が発生し、最低でも金10獲得。
なお14ターン毎にこれは再発生する。
「謎の援助」は装備を複製したり、キャラを強化したりにも使える。
「復元された神の奇跡」の条件にもなっていて、スルタンカードの期限を延ばせるので詰み防止にもなる。
《任侠カード(20P)》

使用すると即時に侠名10。
侠名3が宿舎の条件(他に空き家や金も必要)のため、キャラ強化をスムーズに進めることができる。
また侠名5で発生が始まる「罪人の投降」は数少ない軍隊の入手手段。
軍隊が必須のイベントは少ないが、ゲームクリアを目指すなら持っておくべきで、「大義名分(シャマ)」など軍隊がないと詰むイベントもある。
《一財産(2p+2p+2p+2p)》

1回につきスタート金5。
開始時の即金20。
特にマルキナ(仕立て屋)を1ターン目から使えるのがありがたい。
《入浴プレミアムカード(20P)》《図書カード》

「浴場の情報収集」「書店の営業」が無料になる。
ゲームクリアまでに15~20回利用するとして、双方とも金15~20程度の価値と言えるだろうか。
逆にあまりオススメしないもの
《岩のスルタンカード(10P)》《銅のスルタンカード(10P)》
これらは処理しやすいので『運命点稼ぎプレイに使える』、と考えるかもしれませんがそもそも運命点稼ぎ(クリアを目指さない)なら、最初に28枚全部引ききってスタートして7日でゲーム終了させても良い。
「旦那カード(権勢)」「悪い人カード(悪名)」「怪人カード(霊視)」すべて20P
通常プレイでは不必要。
金策
他にもいろいろあると思います。
ファミリービジネス

最も重要な収入源で、毎ターン行いたい。
ダイスロール3で満額(金5)。
知恵+社交が7程度あればある程度安定して満額もらえる。
「競馬」「ストリートドッグレース」

競馬イベントは馬関係のアイテムを持っていると発生することがある。
掛け金2~8枚を賭けて、成功すると倍になって戻ってくる。
馬ではジャスミンが優秀(他にもいるかも)だが、入手には権勢8のメギのイベントが必要なので、それ以外で手軽に入手できるのは浴場の情報収集で手に入る駿馬。
乗り手候補はジェモールがオススメ。

こちらも掛け金が倍(最大20)になって戻ってくる。
(ファリスのイベント絡み以外)三日月にかければ負けない?
金貨のマイアイデアイベント

労働力を売る:体力判定(判定により金0~3)
騙し合い:隠密判定(判定により金0~3)
酒場の拳闘:戦闘判定(判定により金0~3)
宮廷の務め:社交(判定により金0~3)
狩猟ゲーム:生存(判定により金0~5)
ステータス特化しているキャラがいればお手軽にある程度の収入源に。
ベキ夫人を権力ゲームに

情報カードの代わりに金貨を持ってくる。
たかが1だけど序盤は嬉しい。
謎の援助に金貨を入れる

金貨を入れる(戻ってくる)と、金貨10を獲得できる。
謎の援助は「善行3以上」で14日毎。
ただし、悪名が3以上になると発生しない。
ボランの弁当箱イベント
善行9でボランが配下にいる時にボランのマイアイデアから開始。

8日程度ボランが拘束されるが、金貨9枚を獲得(繰り返し可能)。
ボランにはずっと弁当箱を作ってもらいましょう…
最後に
ということで、とりあえずED3種到達時点での攻略となります。
ちゃんとした攻略記事としては、ゲーム要素が多すぎてまとめきれなかったのがあります。
攻略記事としては白旗気味w
手放しで褒めれない点もあるけど、プレイしていると常に新しい発見が続くのはよくできてるゲームなのは確か。
ゲーム開始してしばらくは、文章と雰囲気は面白いけどシステムは分からない。
ゲームシステムが分かってくる(それだけ周回している)と文章が煩わしくなるというのがこのゲームを褒めきれない点でした、しょうがないけれど。
「誰にでもオススメできるゲームではないけど、刺さる人には刺さるテキストアドベンチャー」
いかがでしょうか。
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