
略称的にはエクスペディション33か、遠征33とかになるでしょうか。
昨今は(ARPGではない)ターンベースなJRPG路線は(ペルソナのようなファッション性の高いものを別として)世界的にはNGという風潮だっただけに、ターンベースRPGの復権の先駆けとなりうる本作はゲーム業界の流れを語る上で大きな役割を担ったと思えます。
クリア後一言感想
これはスゴイゲームだ
定価で買っても後悔なし!
XBOXゲームパスで初日からプレイ可能なので加入者はすぐ遊べるのも良いですが、持っておきたいゲームでもある。
コマンドRPGではあるものの、敵の攻撃のパリィ(回避)システムが戦闘の軸になっていて、タイミングよく敵の攻撃に対応するのが楽しい。
似た方向性のゲームとしては思い浮かぶのがスクウェア・エニックスのFF13の派生作品(3部作の最終作)の「ライトニング リターンズ ファイナルファンタジーXIII」。
つまり、本作はスクエニが到達できたかもしれない、でも諦めてしまったもう一つのファイナルファンタジーシリーズの形。。
どんなゲーム?
重厚な洋風なファンタジー世界感
Clair Obscur: Expedition 33は
◇Clair Obscur
17 世紀から 18 世紀にかけてフランスで人気を博した、芸術と文化の潮流
◇Expedition 33
「第33遠征隊」を表す。
前半は作品詳細というより世界感やゲームを通した方向性、後半は主人公達の所属する遠征隊そのものを指している。
現代風のファンタジー世界で、それでいて魔法などは普通にあるのが懐古的であり新しくもあり。

魅力的なストーリーではあるが謎が多く、序盤はプレイヤーは置いてきぼりにされがち。
中盤以降、そして終盤にそれらの解明が集約されている。
アウトフォーカス(ピンボケ)をによる演出効果を採用していて、演出面は細かい点まで推敲されているのを感じる。

力が入ったアートワーク
謎が多く、そして深いストーリー
プロローグのラスト(動画)


ある年齢になると人々が抹消されてしまう世界。
ストーリーに関してはやや難解さで序盤ふりおとされるかもしれないが、かなり良い作り。

閉じられた都市と遠征隊、そして「心臓をささげるポーズ」は進撃のオマージュ?

世界のシステムを何とかするために人々は毎年遠征隊を組んで外界へ。
細かい点ですが、AAAゲームでも字幕表示が適当なゲームも多いですが、その点がしっかりしているのも好感触。
ターンベースRPGとリズムアクションの融合
苦手な人と得意な人、どちらも楽しめる
筆者はいわゆるQTE要素は必要ではないと思っていますが、このゲームは楽しめました。
隠し要素的なボスのほとんどの報酬はキャラ強化よりもコスチュームなどの戦力外要素なので「強いられない追加要素」となっているのも良い。

戦闘演出は派手で、かなり爽快感がある。
そして戦闘音楽が秀逸。

ペルソナ5でもあった射撃要素だが、フリーエイムと部位破壊を使って上手くゲームに溶け込んでいる。
フリーエイムは敵によってはギミックを壊したり、キャラによっては攻撃の軸に出来たり。
プレイアブルキャラは5人ほどで、同時に戦闘に出せるのは3名。
キャラ毎に得手不得手やプレイフィールはかなり異なる。

攻撃面でQTEはあるが、かなり優し目でこれがネックになることはない。

ゲーム性のキモは敵の攻撃アクションに合わせたパリィ/回避コマンドで敵の攻撃を無効化できる点。
ここはプレイヤースキルがかなり重要になってくる。
リズムゲーム得意な人はかなり楽しめると思うが、(筆者のように)苦手な人でも十分楽しめる。
ただし、寝ころびながら、アニメ見ながらのんびりJRPGしたいという層には向かないゲームではある。
全ての敵の攻撃を無効化できることができるので、プレイヤー次第で低レベルクリアも可能になっていてプレイヤーの成長を感じさせてくれる。
もちろん、レベルを上げたり、ビルドを考えることで1ターンでボスをブレイクして何もさせずに倒すということも普通難易度(エクスペディショナー)なら十分可能。
まぁ、ボスより強い隠し要素はさすがにある程度パリィもやらないとダメだと思いますが@@;
評価
総合:4.5
(コンテンツ量と比較すると)小規模なチームで作られているらしいですが、クリア後の感想としてAAA(トリプルエー)と言われても納得できる。
物語終盤まで謎が多くて4点と迷いましたが、最後までプレイしたら満点か否かという認識になりました。
JRPGならぬFRPGとして今後1つのジャンルの方向性となる作品になるかもしれません。
RPGは絶対くつろぎながらプレイしたい!という人以外は手に取ってほしい作品。
・秀逸なアートワーク
・雰囲気にマッチしたゴシック調音楽が素晴らしい
・派手な戦闘演出、秀逸な敵のグラフィック
・ボス戦が楽しい&討伐時の達成感
・ユーザビリティを重視したゲームシステム
・プレイヤーの成長を感じさせてくれるパリィ重視戦闘
・終盤に畳み込んでくるストーリー展開
・攻略を見ずともクリアできる親切設計
全体的に完成度が高いの一言。
製作規模が少ないという言葉を信じるのであれば、昨今の肥大化した大規模製作RPGへの挑戦であり、ゲーム業界のブラックスワン。
ちなみに筆者は主にセール時にゲームを購入することが多いのですが、本作をすぐに衝動買いしてしまったのは戦闘演出と音楽に魅せられたからです。
結果として後悔無しでした。
音楽要素のすばらしさは本作を語る上で外せない。
本作は敵の攻撃パターンを覚えるため繰り返し同じボスと戦闘することも多い。
音楽が心地よいのでその作業も苦にならず楽しめました。
ある意味一種のリズムゲームと言える。
戦闘が楽しく、うまくいった時の達成感、パリィの爽快感があり、音楽が良いのでずっとプレイしていたい。
強敵は初見での撃破は難しく、敵パターンを解析してからのクリアは達成感が高い。
ボリュームも十分あり、定価で買っても満足感〇
ストーリーは難解ですが、昨今の映画化しつつある動画シーンに比べればコンパクトできちんとゲームとして楽しませてくれようとしているのを感じさせてくれた。

本作のワールドマップはミニチュアのような世界でプレイヤーを動かすシステム。
ファストトラベルはないがある程度高速の移動手段も後々入手できるようになっている。
それでも移動は全体的に遅いがワールドマップの探索も様々な発見があり、これはこれで面白い。
また、攻略ブログもしてる自分がいうのもなんですが本作は攻略ページを見ずとも問題なくクリアまで迷うことなくたどり着けるよう親切に導線が繋がってるのも好印象。
クエストマーカーがあるわけでもないのに道中迷って行先が分からない、ということはありませんでした。
MAPも一本道というわけではないですが、迷わないように作られています。
ミニマップはあった方が親切だった気もしますけど。
・戦闘のリスタートがやや時間がかかる
・(物理的に)暗い映像が多い
・日本語音声…
・探索もれマークが欲しい
セーブはオートセーブのみ。
オートセーブ頻度は高いが、逆に言えば少し前のセーブ位置まで戻ることができないので選択はやり直せない。
また、戦闘をやり込みたいので、「戦闘開始まで戻る」は早急に実装して欲しい。
映像美が素晴らしいのだが、とにかく暗闇シーンが多く、特に頻繁に使う野営地なども暗すぎて迷うくらい。
日本人は(黒目の影響で)暗闇が苦手な人が多いのでもう少し明りを増やしてほしかった。
またステージ内でも暗いエリアは探索がつらかった。
日本語音声は実装してくれくださいおねがいonz
「攻略を見ずともクリアできる親切設計」とか言っておいてなんですが、1周目自力でやったらポーション瓶強化やジャーナル等結構探索漏れをしてしまいました。
どこにあるかがの情報なしだと探すのが手間なので、MAP画面であるステージに残されたアイテム(ジャーナルやポーション強化等)がMAP画面で判断出来たら嬉しい。
公式OST
最後に
間違いなく良作で、個人的GOTY候補
海外では「古臭いゲーム」として使われることの多い「JRPG」ですが、こんなゲームができるのであればまだまだ世界市場でも戦えると感じました。
JRPGとして日本で作れなかったのは残念だけど、精神的JRPG作品として成功して欲しい。
一応難易度ノーマル(エクスペディショナー)クリアはしましたが、まだやり込み要素を全てことなしたわけではなく、NewGame+要素もあるらしいのでもう1周くらい遊びたい。
RPGでもっと遊びたい、2周目遊びたいと思わせてくれるのは素晴らしい。
ストーリーに関してもいろいろ書きたいことはあるのですが、本作はネタバレしないほうが楽しめる作品だと思いましたので控えました。
余談:ライトニング リターンズ ファイナルファンタジーXIIIの想い出
~スクエニが本作風ゲームを作れた世界線を妄想~
FF好きな人でもプレイしたことがなさそうなマイナーなFFシリーズ作品。
そんな冒頭でも似たゲームとして挙げさせてもらった「ライトニング リターンズ ファイナルファンタジーXIII」は、予算不足で大マップが4つしかなかったり(うち2つはほぼ街のみ)とFF13の3部作最終作品としてはお粗末でしたが、ゲームシステムは大好きでした。
スクエニは昨今FFシリーズの戦闘システムの方向性で迷走しており、その迷走初期の作品の一つ
《最近のFFシリーズの戦闘システム》
◇~FF10
アクティムタイムバトル等はあったが王道のJRPG
◇FF12
MMO形式とガンビット(戦闘自動化)システムを取り入れるも反応はイマイチ
◇FF13、13-2
仲間召喚システムを取り入れるも目新しさはなし
◇FF13-3(ライトニング リターンズ )
ジャストガード等アクション性を取り入れるも発売前から敗戦処理
◇FF15
アクション性を取り入れ始めるもストーリー面で惨敗(DLC発売取りやめなども重荷)
◇FF7R
アクションゲームとコマンドバトルの融合でユーザー評価は高い。
リメイクであることとストーリー未完、販売周期の遅さ(第1作2020年)が重荷
◇FF16
アクション性ゲームへ転向するも海外の土俵では研究不足、ムービーや演出面に力を入れる
※FF11・14はMMOなので外しています
こんな感じで、FF12くらいから(海外では苦戦しやすい?)JRPG路線から軸をずらしてきていますが苦戦している様子。
個人的に「ライトニング リターンズ ファイナルファンタジーXIII」の失敗はシステム面の所為というより、FF13-2のストーリー面の失敗と、2年というユーザー待たせの結果の敗戦処理に思えました。
FF7Rの最終作ははたしてどうなるのか
確かにFF13の最終作としては冒険しすぎたシステムだったと思いますが、限られた予算内で面白いゲームを作りたいという意欲は感じられましたし緊張感のある戦闘はかなり好きだっただけに、「失敗作」の烙印を押されてしまったのは残念。
トレイラーの戦闘シーンを見ると、今作と通じる部分を感じる(トレイラー1:40~あたり)。
単なる失敗作とせずに一つの方向性として進めて行けば、「Clair Obscur: Expedition 33」のようなゲームを作れた世界線もあったかもしれない…
ちなみにライトニングリターンズの世界は人々が「老いず生まれず」になったという(時間的に)特殊な世界感でもあるので精神的な部分でも本作に通じる部分を感じる。
ちなみに「ライトニング リターンズ ファイナルファンタジーXIII」を楽しむには13と13-2もプレイは必須なんです、残念なことに。
13だけなら単体で楽しめますし、すっきり終われる。
13-2をやるなら「ライトニング リターンズ ファイナルファンタジーXIII」までやることが必須だと思ってください。
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